縫い子さんの日がな一日(改)

「若き職人」の称号を返上しつつ、中々、「熟練の職人」になれない田舎の仕立て屋さんの日がな一日

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パンダの気持ち

お弟子さんの頃のこと。

京都の「伝統産業会館」、今の「みやこめっせ」、というところで、和裁の実演をしていたことがある。

2年生以上で、長着(着物)が縫えるようになったけれど、戦力とは呼べない生徒さんが、縫製所の持ち回りで実演するのだ。

そこでは、いろんな職人さんが実演していて、滅多にお目にかかれないものも、時には見られる。

   もう、やっていないと聞いたけど、どうなんだろう?

ワタクシ、2回か3回、借り出されまして。
学年の人数が少ないと、回ってくる回数も必然的に多くなるのだ。
ちなみに、ワタクシの同期は、私も含めて3人。

これには「時期」というものがあって。
運悪く「秋」に当たってしまった人は、修学旅行の団体がこれでもかというぐらいに、押し寄せる。
「冬」に当たってしまうと、今度は、会場は広いのに、人が少ない分、ものすごく、寒い。
春先には、皆様、移動の多い、忙しい時期なので、人は少ない。



   とにかく、修学旅行生に当たらなきゃ、普通に仕事してきたらいいんだよ。

と、姉弟子さんに勇気付けられて、行きましたよ。

気分は、「ドナドナ」の子牛か、「月の砂漠」の嫁に行くお姫様か。

さてさて。3月ごろだったかなぁ……。

見知らぬ職人さんに囲まれて、どきどきしながら、することは「まとめ」。
実演、通称「伝産」へいったときには、

   「『まとめ』から一枚仕上げる」

というのが一つのノルマ。

   まとめ⇒裏と表、お袖が出来上がっていて、そこから一枚の着物に仕上げる。

そんなこんなで、やらずばなるまいっ! 春先は、人が少ないって言うしな。
「伝産」の開館は、当時、10時。
んで、ちくちくやっていたら、頭の上で、なにやら人の気配。

ひょい、と顔を上げたのが運の尽き。


   くっ! 黒山の人だかり!!
   いや、黒山のほうが、まだ良かったかも。

   聞こえた単語は、「わんだほー!」
   飛び交う言語は「English」!!
   金髪のおばちゃんが、写真まで撮ってる!!!

ひーっ!
話が、ちがーう!
ってか、「金閣寺」はどうした! 二条城は!?

手が震えちゃったよ。

  はあああぁぁ。
  もしかして、上野動物園のパンダは、毎日、こんな気持ちなんだろうか……。


そんなわけで、英語圏のとあるおばちゃんの日本旅行記には、ワタクシの勇姿も、お写真に収められています。

そんなことも、あったなぁ・・・・・・(遠い目)

  
弟子の頃

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2 Comments

Comment

NoTitle

>ちあきさん
泡は噴きませんでしたが、冷や汗はとどまるところを知らなかったです。
手に汗握りながら、針は軋み、生地はしわが寄って大変。

英語で、何か話しかけられたような気がしましたが、ガイドさんがうまくかわしてくれていた様な気がします。

パンダの気持ちも、あれに近いんでしょうか。
滅多に出来ない経験ではありますよね。えへへ。
2006/11/10(Fri) 00:37:31 | URL | ひわ@小心者 [ Edit]

緊張!!

そりゃ緊張しますよ!!

私なら泡吹いてぶったおれたかも。

大勢の人にじっと見つめられたら、どんなに手馴れた人でも手が震えますよ。

ましてや仕立て屋は孤独な職業なんですから。

でも今となっては良い思い出ですね。
2006/11/09(Thu) 09:16:47 | URL | ちあき [ Edit]
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