縫い子さんの日がな一日(改)

「若き職人」の称号を返上しつつ、中々、「熟練の職人」になれない田舎の仕立て屋さんの日がな一日

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下手の横好き

 趣味に関して、どうもうまくない、上手くならない、強くない、強くならない。でも、人を誘ってまでやっちゃう。暇な時間を無理やり、ねん出しては、やってしまう。
 つまりは、下手の横好き。

 レース編みを始めたのは、中学生の頃の手芸クラブで。中学生の頃は、クラブは学校のカリキュラム内で、成績として反映される。よって、全員参加の必須活動。部活動は、カリキュラム外で、内申には多少反映されるだろうが、参加は必須ではない。
 楽であろうものを選ぶのが、人情ってもの。
 手芸クラブで、宿題する奴もいたし、寝てるやつもいた。彼女のことを、サボリーさんと呼ぶことにする。

 そんなある日、文化祭でバザーをするらしいと、聞いた。手芸部では、毎年、文化祭で、レース編みのしおりを作って売り、クラブ費の足しにするらしい。
 さて。編み方は、代々伝わるレシピがあるから問題ない。問題は、レース糸の色だ。
 誰だって、かわいらしい色がいいに決まってる。ましてや、中学生である。かわいらしい色……ピンクや黄色、水色、青などがあり、白以外のレース糸を始めてみたひわさんは、一人勝手にテンション上昇中!
 そこへ、しおり販売班に組み込まれてしまったサボリーさんが言いました。

「ひわちゃん、うまいから、汚い色でも大丈夫だね!」

 は? そりゃ、また、一体、どういう意味で?

「あたしみたいに下手くそは、色も汚かったら絶対売れないけど、ひわちゃんみたいに上手だったら、多少色が汚くても、だれか買ってくれるよ。あたしが作った汚い色のは売れ残るけど、ひわちゃんが作ったのなら、完売するよ!」

 どういう屁理屈?

「逆だよね? 上手でも、色が汚いからっていう理由で、下手でもかわいい色を買ってくれるよ? みんなでじゃんけんしたらいいじゃん?」
「ちょ! 待って、あたし、売れ残るの、絶対いや」

 それは、しおり班全員の統一見解だ。あなただけじゃありません。と、全員が頷く。
 どれだけ時間をかけて話しても、らちが明かないので、投げました。

 じゃあ、好きにしたら? 売れ残ったら、サボリーさんが買ってよね。

 ってことで、結局、一番人気のない色を、万馬券を買うつもりで引き受けました。

 さて。当日。
 サボリーさんは、自分でいうだけあって、ものすごいクオリティのものを持ってきました。これ、買うやついるんかいな。
 赤や黄色、水色から順番に売れ、ピンクのサボリーさんのゆるゆるグダグダしおりも中盤には売り切れ。
 残ったのは、私が編んだ濃緑のパッとしないしおりのみ。中学の文化祭だから、大体、中学生以下とその父兄が訪問し、そんな小さなものを購入するのは、同級生か小学生。つまり、やっぱり見栄えのする色には敵わないのだ。
 
 言わなきゃいいのに、サボリーさんたら、
「私の完売したわ~!(ヒャホー」
 だから言ったじゃねぇか。と、心の中でつぶやく。
 かわいい色から売れてくんだよっ。

 でも、店番をしながら、私は、お客様から大事なものをいただいた。それは、どなたかのお母さんだったように記憶している。
 濃緑のしおりを手に取って一言。
「これ、上手いわ~。この人の編んだので、他の色はないの?」
 ありがとうございます。でも、そこにあるの全部です。いいんですよ。そのお色を買っていただいても……。ねえ。ねえ。

 残念ながらお買い上げは別のものでしたが、お金ではないものをいただきました。
 売れ残ったものは、サボリーさんは買ってはくれませんでした。
 まあ、当たり前だ。期待もしてないから、そんなもんだと片づけましたが、絶対売り切れとプレッシャーだけをくれた先生は、来年の見本にとっとくとかいって、持っていかれました。
 今、そのしおりはどうなってるんだろう...("= =) トオイメ目
 処分されたに、一票。
日記

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