縫い子さんの日がな一日(改)

「若き職人」の称号を返上しつつ、中々、「熟練の職人」になれない田舎の仕立て屋さんの日がな一日

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産着と被布コート

 着物を商品として販売しているなら、お願いだから、基本は押さえておこうよ。と、涙ながらに語ってみる。

 産着は、赤ちゃんが「産」まれてはじめて着る着物だ。赤ちゃんが直接身に着けるものだから、やわらかい天然素材で、無垢な赤ちゃんの皮膚にも優しい生地で作る。
 多くは木綿のガーゼで、これは大人は絶対に着ないものだ。
 だから、「産着」という。

 同じ「うぶぎ」でも、「初着」と書くと、「産着」とは違うものになる。
 これは、赤ちゃんが、「初」めて大人と同じ生地を使って作る着物だ。正絹や化繊のものが多く、刺繍や染めで柄が書いてある華やかな晴れ着だ。お宮参りという、赤ちゃんの一区切りのお祝いとして仕立てるもので、多くは一つ身であるが、大人の羽織を仕立て直した四つ身もあるし、布幅が許せば二つ身や三つ身のものでもよい。

 要は、寸法がお宮参り用で、お袖が大名袖であればよく、幅の広い紐をつけたものであれば、裁ち方なんぞ、どうでもよい。
 背縫いがあってはダメだという意見も聞くが、背縫いがないとそこから悪魔や悪霊がとりつくから、背守を付けるだけで、背縫いのあるなしが問題ではない。
 また、縫い目は結界でもある。それを破らないと中に入ってこれないのだから、結界のない背を背守で守るという意味もある。

 やがて、それは3歳のお祝いに、あげを取って着るのだから、その寸法に耐えうる形であればいいのだ。

 被布コートもしかり。
 被布コートとは、つまり、脇にマチがなく、縫い目が割ってあるもので、お外でしか着られないものだ。縫い目に、悪いものはとりつくのだから、縫い目がむき出しになるコートを着たまま室内に入ることは、意識せず拾ってきたあらゆる「魔」をそのまま家の中に持ち込むことになる。
 基本、屋根のあるところでは脱ぐのだから、神社でお祓いを受けるときは脱がなければならない。外套は、誇りや紫外線から着物を守るためのものだから、屋内では必要ない。
 被布になると、話は違う。脇にマチがあり、縫い目にキセがかかる。きっちりと縫い目が隠されているから室内でも着用できる。神社でお祓いを受けるときも、着たままでok。

 商魂たくましいのは結構だが、もうちょっと、何とかならないだろうか。
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子供もの

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下手の横好き

 趣味に関して、どうもうまくない、上手くならない、強くない、強くならない。でも、人を誘ってまでやっちゃう。暇な時間を無理やり、ねん出しては、やってしまう。
 つまりは、下手の横好き。

 レース編みを始めたのは、中学生の頃の手芸クラブで。中学生の頃は、クラブは学校のカリキュラム内で、成績として反映される。よって、全員参加の必須活動。部活動は、カリキュラム外で、内申には多少反映されるだろうが、参加は必須ではない。
 楽であろうものを選ぶのが、人情ってもの。
 手芸クラブで、宿題する奴もいたし、寝てるやつもいた。彼女のことを、サボリーさんと呼ぶことにする。

 そんなある日、文化祭でバザーをするらしいと、聞いた。手芸部では、毎年、文化祭で、レース編みのしおりを作って売り、クラブ費の足しにするらしい。
 さて。編み方は、代々伝わるレシピがあるから問題ない。問題は、レース糸の色だ。
 誰だって、かわいらしい色がいいに決まってる。ましてや、中学生である。かわいらしい色……ピンクや黄色、水色、青などがあり、白以外のレース糸を始めてみたひわさんは、一人勝手にテンション上昇中!
 そこへ、しおり販売班に組み込まれてしまったサボリーさんが言いました。

「ひわちゃん、うまいから、汚い色でも大丈夫だね!」

 は? そりゃ、また、一体、どういう意味で?

「あたしみたいに下手くそは、色も汚かったら絶対売れないけど、ひわちゃんみたいに上手だったら、多少色が汚くても、だれか買ってくれるよ。あたしが作った汚い色のは売れ残るけど、ひわちゃんが作ったのなら、完売するよ!」

 どういう屁理屈?

「逆だよね? 上手でも、色が汚いからっていう理由で、下手でもかわいい色を買ってくれるよ? みんなでじゃんけんしたらいいじゃん?」
「ちょ! 待って、あたし、売れ残るの、絶対いや」

 それは、しおり班全員の統一見解だ。あなただけじゃありません。と、全員が頷く。
 どれだけ時間をかけて話しても、らちが明かないので、投げました。

 じゃあ、好きにしたら? 売れ残ったら、サボリーさんが買ってよね。

 ってことで、結局、一番人気のない色を、万馬券を買うつもりで引き受けました。

 さて。当日。
 サボリーさんは、自分でいうだけあって、ものすごいクオリティのものを持ってきました。これ、買うやついるんかいな。
 赤や黄色、水色から順番に売れ、ピンクのサボリーさんのゆるゆるグダグダしおりも中盤には売り切れ。
 残ったのは、私が編んだ濃緑のパッとしないしおりのみ。中学の文化祭だから、大体、中学生以下とその父兄が訪問し、そんな小さなものを購入するのは、同級生か小学生。つまり、やっぱり見栄えのする色には敵わないのだ。
 
 言わなきゃいいのに、サボリーさんたら、
「私の完売したわ~!(ヒャホー」
 だから言ったじゃねぇか。と、心の中でつぶやく。
 かわいい色から売れてくんだよっ。

 でも、店番をしながら、私は、お客様から大事なものをいただいた。それは、どなたかのお母さんだったように記憶している。
 濃緑のしおりを手に取って一言。
「これ、上手いわ~。この人の編んだので、他の色はないの?」
 ありがとうございます。でも、そこにあるの全部です。いいんですよ。そのお色を買っていただいても……。ねえ。ねえ。

 残念ながらお買い上げは別のものでしたが、お金ではないものをいただきました。
 売れ残ったものは、サボリーさんは買ってはくれませんでした。
 まあ、当たり前だ。期待もしてないから、そんなもんだと片づけましたが、絶対売り切れとプレッシャーだけをくれた先生は、来年の見本にとっとくとかいって、持っていかれました。
 今、そのしおりはどうなってるんだろう...("= =) トオイメ目
 処分されたに、一票。
日記

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辞めた

 今年度から、日本和裁士会を脱会しました。
 よって、今まで、タイトルの下に、『和裁士』と説明していたものを、『仕立て屋さん』と訂正しました。

 思えば、年会費1万8千円。
 隔月に減った会誌ぐらいしか、恩恵はなく、その会誌も各支部の活動報告や広告が多く、和服の仕立て屋さんとして、何か身になるものがあるかといえば、あるようなないような?
 和裁士会に所属して20年だから、36万円。
 値段分の得るものがあったかと問われれば、なかったとしか言いようがないが。
 長いものに巻かれている安心感は、確かにあった。
 
 いままで、お世話になりました(合掌
雑談

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呪文

「ねえね、魔法かけて(〃▽〃)」
 と、へにゃごんが言うから、魔法をかけた。
「アラビンドビン、ハゲチャビ~ン」
 真顔で、「違う」と言われた。この頃、テレビで魔女っ娘モノを見かけないから、なんことやら、 よくよく話を聞いてみると、プリキュアが魔女っ子モノを肩代わりしているらしい。
 へにゃごんの言う、「魔法の呪文」とやらを聞いてみたいのだが、焦らしているのかもったいぶっているのか、教えてくれないから、知っている限り、ありったけ呪文を唱えてみた。
「パンプルピンプルパムポップン?」
「違う」
「マハリクマハリタ~……?」
「なあに、それ?」
 魔法使いサリーの主題歌を歌ってやったら、「ヤンバラヤンヤンヤン~♬」のところが、いたくお気に召した様子で、何度もそこをせがまれた。
 なかなか、話が進まないので、へにゃかかに、魔法かけるときってなんていうの? と、聞いてみたら。
「キュア! プラパパ!」

 なんと! 一言、叫ぶだけかい。
 へー。
 ほー。
 呪文もケチケチ作戦ですか。
メイちゃん

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それはそれ。

 へにゃごんのコスプレ衣装を検索中にたどり着いた、上級と思われるハンドメイダーさんのブログ。
 そこに、洋裁系でよくある「和裁はわからないけど、七五三を手作りで!」という趣旨のエントリを発見。

 そうなんです。
 特に、クオリティを気にしなければ、いくらでも着物も羽織も被布もできちゃうんです。
 「和裁」という観点から見るから、思わず絶句、な、工程で出来上がりになるのですが、着てしまえば、着物は着物だし、被布は被布です。そこ、気にするかしないかの差。
 洋裁系で作ったものは、レンタルっぽい雰囲気がにじみだすけど、そこは生地質とか色柄にもよるから、仕方がないと割り切って。

 そして、ワタクシは、人がすることにいちいちケチは付けないタイプです。
 好きで、しかも、そこに子供のために楽しんでやっているという、一石二鳥も三鳥もなりそうな、いや、実際なってるだろうことに、くちばしを突っ込むほどお節介ではありません。

 偉そうに和裁をコケにするような洋裁ブリを発揮するエントリには噛みつくけど。

 縁どりに、梵天テープを付けた水色とピンクの被布は、子供らしくて、とてもかわいいし、地色が卵色でピンクと水色の柄の着物はふんわりしていて、いかにも今風。
 どこかの質問サイトに常駐している皆様に見せてあげたいですわ。
 子供の成長を見守り、一つの区切りとしてするお祝いに、心がこもっていれば、着物なんてどうだっていいんです。

 ……、いや、どうでもよくはないけど、神経質に、伝統だのTPOだの正式だのに捕らわれて、子供のお祝いなのに、子供を不快にするような親の見栄でやるより、はるかに、心のこもったものだと思います。
子供もの

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着物 de 花見

 いつだったか、黄八のアンサンブル(被布)を着て、花見に行きたい。と、書いた。
 その夢は一向に実現しないが、今日、他人様が着物で花見にきているのを見た。
 大河原の一目千本桜。
 背景には、雪を冠した蔵王連峰が見え、なかなか雄大な風景の中、着物姿のお嬢さんたちが、華やかな笑い声を立てて写真を撮りあっていた。

 いいね。
 着物 de 花見。
 あこがれだね。

 小紋の中に、袴が一人いたが、これもまた素敵。
 めったに着れないものだから、こういう時に着ないとね。
 蔵王からの吹きおろしの風がきつく、お袖がなびいたり、はらりと上前の衽がめくれるのもなかなかに風情のあるものです。

 着にくいのに、よく着たよ。

 心意気は認める。
 
 が。

 彼岸花はないだろう。
 どんな幾何学模様でも、季節感のない洋花でもそれは構わない。
 でも、彼岸花はないわ~。
 誰が見ても、彼岸花は、秋の夕日に映えるものであり、春の桜の下には咲かないものだよ。
 徒花でもあるまい、ちょっと残念な感じでした。
 今回は、がんばりま賞を進呈します。

 着物を着てくれてありがとう。
 でも、季節のはっきりした花の着物は、もう少し、季節感を気にしましょう。


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不義理大王

 最終更新から、早、2年。
 不義理大王の名をほしいままにしています。

 お久しぶりでございます。
 誰に申しているかといえば……、あえて指名するなら、ブログ画面でしょうか。

 自分のブログを見返す機会がありまして、久しぶりに、犬のエントリを読んで、自分で号泣。
 たかが、お犬様のことで、これだけの感情のふり幅があるのに、ましてや、震災で大切な人を亡くされた方の心持はいかばかりだろうと思い巡らせるのです。
 
 忘れることはできません。
 でも、視線を足元や空から、まっすぐに向けることはできると思うのです。
 それは、無理やりではなく、いつか、それに気づくことができると思っています。

 今、見ている方向は、どっち向き?
日記

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